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竹の根を切る

こんにちは。

神奈川・相模原の里山で自然農を営む「すどう農園」です。

昨年から続けている竹林の整備、というよりも、竹にとどまることなく、農園全体を整える作業です。
里山は、様々な生物が多様に関係を作って共生している空間です。その中で農業をやるということは、何か特定のものばかり育てるのでなく、その場にもともとあった生態系の仕組みを最大限に尊重し、そこで農業を「させていただく」というようなスタンスです。自然を征服したり、手の内に収めようとするものでは本来ない。ただし、まったくの放任、あるいは放棄ではいけないわけで、その辺は今さら言うまでもないことでしょう。

日本全国で竹が猛烈に広がっているのは、かつては人間が適切に手を入れながら暮らしてきた里山空間が、高齢化や過疎ですたれてしまったための失調症といえます。
今日は援農の皆さんと農園に伸びてきた竹の根を切る作業。去年の11月にユンボで竹の地下茎を掘り上げてもらった続きです。
写真のように、かなり深いレベルまで掘らないと地下茎は断ち切れません。これでもまだ残っているものはあるのですが、完全な根絶は無理ですから、初夏に伸びてきた残党の竹は、葉を伸ばし切った時点で伐ります。これは昨年もやったことですが、おそらく今年も同じことをすれば、かなり竹は収まるでしょう。

まるで塹壕のよう。
太い地下茎が縦横にあるので、普通に掘ることができず、大変な作業でした。
しかも今日は冷たい雨。

竹の根っこをさかさまにしたところです。
いわゆる尺八は、この根っこまで彫り上げて作るのだそうです。
先日、別の竹林に来てくださった方は尺八づくりをなさっているのですが、こうした真竹が尺八に適しているらしいです。竹細工と同じですね。そして、尺初を作る際には、節が7つあるといいのだそうです。
かつてはそうした具合に、いろいろな分野で竹は使われてきました。現代は竹を扱える人が減ってしまって、例えば蕎麦ざるも、作れる人が激減してしまったそうですね。
いつもいつも言っていることですが、もっと手仕事をする人が増えてほしいと思います。
それだけで生計を立てるのが無理でも、生業の一つとして、手を動かす人が増えてくれば世間はずっと楽しくなると思うのです。

「地方に雇用を」などといおう、旧態依然の会社頼みの発想はほどほどにして、自分の生業は自分でつくるという構えでやっていこうではありませんか。