柿の渋みは、タンニンです。
タンニンは膨大な種類があり、お茶やブドウなど植物によって違います。
柿に含まれるタンニンは、たんぱく質を変性させる収斂作用の強いもの。
それを利用して、かつては日本酒の清澄剤(雑味たんぱくを除いたのでしょう)や防腐剤にも使われました。
このタンニンは、日に当てると、タンニンの分子同士が重合して大きな分子になり、
舌の味覚細胞に感じることのない、水に溶けないタンニンになります。
それが甘柿(あるいは干し柿)。
つまり甘柿でもタンニンは存在するのですが、水に溶けない分子なので柿渋としては使えません。
ちなみに、甘柿を食べると体内でまたタンニンが水溶性の小さな分子になり、消化吸収されます。
柿渋づくりの際には、収穫したらその日のうちに砕いて漬け込めと言われるのは、
たちまちタンニンが重合して不溶性になってしまうからです。
柿の品種によってもタンニンの含有量の多い少ないがあるようです。
たまに里山の片隅に、カラスも食べずに実っている柿の木などありますが、あれなどは相当に渋みが強いのでしょうね。ただし、柿は放っておくと上に伸びてしまうので、なかなか収穫は難しいものです。
柿渋の仕込みは、おおむね二百十日、すなわち新暦の9月1日。
台風が多いので「防災の日」とされていますが、この頃は書きも大きくなり、タンニンの量も多くなるようです。
年によって熟し方の差もあるので、あくまでも目安ですが。
今年もまた、すどう農園の農事暦に大事な日が一つ、加わりました。
さてレポートの次回は、待ちきれずに染めた模様などをアップの予定です。