すどう農園のご紹介・自然農法について&代表プロフィール

首都圏から日帰りの農業体験と自然栽培のハーブ

「すどう農園」は神奈川県の相模原市(旧相模湖町)の里山で自然農法を営んでいます。
自然農法についてはこちらのページ「自然農法とは」をご覧ください。
およそ1ha以上の農地と加工場があって活動しています。加工場に店舗はありません。

 

自然農法・自然栽培で育てています。
自然農法や自然栽培という言葉は、まだ聞きなれないかもしれませんがシンプルです。
詳しく知りたい方は「自然農法とは」のページをご覧ください。
 具体的には以下のようなものです。
 有機栽培と違って自然農法では動物性の堆肥などを土に入れることはありません。ですから都市部の皆さんも実践できます。

・森の落ち葉や緑肥で野菜や果樹・ハーブを育てる。私たちも一緒に育つ(ここが大事です)。

・農薬も化学肥料も除草剤も、さらに動物性の厩肥も一切使いません。
・里山にあるものを活かし、生かされ、自然の巡る流れに沿って人が動く。

 無理なことも無駄なこともしないのが自然農法です。この原理原則が、畑だけでなくて、自分の生き方全体を貫くようにしたいと思っています。それはなかなか難しいことですが、何かに行き当たった時には、ここが原点になります。

 

動物性の厩肥を使わない理由:

 日本の現状では家畜の餌(飼料)のほとんどが輸入品によること。それらのほぼすべては遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆です。しかも家畜のほとんどは過剰な薬漬けです。動物の厩肥に対する残留薬剤などの検査は、ほぼありません。逆に言えば、こうした厩肥を使っていても有機JAS認証を受けられます。

自給のための自然農法ですので、安全性への理由と輸入に頼った畜産の厩肥を使うことはしません。

そして野菜は、農園に来てくださる皆さんとシェア。もしくは「こども食堂」などへ無料で提供しています。色々考えたことなのですが、土を守り、野菜を作る手間を、逆にお金で換算したくない、そんな気持ちになってきたからです。ここまで至るには十年以上の時間がかかりました。

 自然栽培のハーブは様々な種類があります。特に初夏などは目まぐるしくて収穫しきれません。もったいない!
 ハーブは育てて愉しいものです。2024年からは、実際に農園に来てお手伝いしてくださる方に会員制でシェアする形にしようと企画中です。土に触れるなかで、やっと収穫した喜びを共有していただきたいからです。

 

自然農法・自然栽培で自給菜園を始めましょう  2024年改訂

自給のための自然農法・自然栽培を学ぶ農業体験の場として「さとやま農学校」を開催しています。
まったく農業初心者の方がほとんどですが、貸農園などでうまくいかない方や、いつか移住して農業を始めたい方も参加されます。自然農法は愉しいというのを五感で感じていただけます。

差し迫った自給生活の必要性

2023年は、過去150年で最も暑い一年でした。気候変動は様々な形で続くでしょう。
そして内外の状況も、大きく変動しています。

・国際レベルでの要因 戦争・コロナ・円安→輸入に頼る生活の終焉

・外的レベルでの要因 気候変動で大きく変わった食料生産→大規模農業では無理

・内的要因 除草剤の使用は維持。遺伝子組み換え・ゲノム編集食品の表示も不透明に

・社会的要因 格差の増大 経済事情で十分な食事ができない。かつての南北問題が日本にある。


日本の食糧自給率は非常に貧困です。そもそも肥料や飼料を輸入してこそ成り立っている食料自給など、数か月しか持たないでしょう。これまであまり危機をあおるような言い方はしてこなかったのですが、さすがにもう大変な状況にあると感じます。日々の野菜や心身を癒してくれるハーブまで、できるところから作れるようになっていきましょう。それだけで都会に住んでいてもだいぶ違います。まずは小さな一歩から。

 

 

食糧の話は、どうしても大きな話になってしまいますが、ここでヘタレるのでなく、大事なことなので繰り返しますが、あくまでも楽しく長く続けられるというのが自然農法の原点です。ことさらに歯を食いしばる必要はありません。太陽や風や雨の流れの中に、その一部になるように呼吸を合わせて野菜と一緒に育つのです。

すどう農園代表・須藤章(すどうあきら) プロフィール

東京荒川区の下町で生まれました。

公害が世間を賑わせていた時代に物心がつき、小学校の頃から自然に寄り添う暮らしをしたいと願ったのです。体が病気がちで弱かったせいもあるのでしょう。初心者が自給を学ぶための場所として「さとやま農学校」を主宰している原点もここにあります。

80年代に千葉大学園芸学部で育種学(品種改良など)を学びました。新しい品種は、在来の多様な遺伝子の中から選択淘汰して育てるものであること。つまりは自然界の遺伝的な多様性があってこその新しい品種なのだという基本形を学びました。しかし既にこの頃、世界各地で開発によって、各地に固有の在来種が消えつつあることを知る。なんとか消えゆく野菜・植物を守る生き方ができないものかと思ったわけです。

その一方で旅が大好きでした。主にアジアの見知らぬ街の市場を巡り歩き、雑踏の中で見知らぬ野菜に出会うときは夢見心地でした。あんなに楽しい、心躍る時間は、一生で二度とないでしょう。

見たことのない野菜たち。色も形も多様で個性的な野菜たち。

農薬や化学肥料を前提とした近代農法を教える大学の授業とは別に、農薬も化学肥料も使わない「有機農業」と出会ったのは衝撃的なことでした。これで人生の方向は決まったと言えます。田んぼも畑も山も河も動物も、みんながお互いに繋がって活かしあう世界がここにありました。

埼玉や千葉の有機農家さんを折々に訪ねるなかで、将来をどうしたものかと考える。有機農業をやりたいけれど、農家でない人間が農家になる余地は、いまより遥かに狭かった時代でもありました。あの頃を想うと、今は本当に就農しやすい時代になったと思います。

いっぽうで旅をするほど、海外とのつながりも、もっと深めたいとも悩み・・・卒業後は海外協力団体(NGO)のスタッフとして農業協力に携わりながら自給的農業へ惹かれていくのでした。

しかし、アジアの農村で自立を目指す人たちと東京の生活の往復は、都会での自分の暮らしに矛盾ばかりが感じられて苦しくもありました。自分の暮らしと、アジアの農村や有機農業の現場とのあまりの格差。これは日を重ねるほどに、身をさいなまされる想いです。辛いものでした。

「海外の人のお手伝いよりも、まず自分が自立しないといけない」という想いが日に日に強くなり、かなり自分自身が厳しい精神常態に追い込まれました。東京駅の地下通路で歩くこともできなくなって立ち止まってしまったこともあります。この時期は決して愉しい経験ではありませんでしたが、長い人生の中では、これもまた意味のある経験だったと思います。やはり人は、苦しいことも経て、そこを抜け出たところに、ひとつ新しい境地にたどり着けるのではないでしょうか。

その後は埼玉県小川町での有機農業の研修生になりました。小麦畑を見て、自分の育てた麦でパンを焼きたいと思う。そこから天然酵母パンの草分け「ルヴァン」を経て、石窯のパン屋を神奈川県の旧藤野町(今は相模原市)で開設しました。この石窯を手作りしたことで、ようやく自分が自然界とつながる実感を得たのです。すでに30代になり、決して早いスタートではありませんでしたが、いま振り返れば、それまでの長い道筋にはすべて意味がありました。無駄な時間はなかったといえます。その後、唐突ながら宮古島で介護事業所と農園をやるという濃密な2年間を経て相模湖に戻り、念願の「すどう農園」を設立。

しかし、農業で身を立てるというのは、とりわけ中山間地にあっては簡単なことではありません。少しづつ借りた農地にはどこにも農業用水などなく、山がちなので日照時間も短い、夜はイノシシやシカの動物天国と、里山ゆえの苦労は数え切れません。それでも、東京に隣接する里山の畑を訪ねてくれる人が年々増えてきたのは嬉しいことでした。大都会の平野とは違う別の世界の魅力は、効率一辺倒の都会の尺度とは違う世界があって、それでいいのだと無言で伝わってくるのでしょう。こうして、里山を楽しんでくださる人たちと一緒に自然農を学ぶ場を作りました。それが「さとやま農学校」です。自然農は、自然界の大きなつながりの中に身を置いて、その中で「野菜も作らせてもらう」というスタンスです。農薬も化学肥料も除草剤も使わないところは有機農業と同じですが、微妙にまたニュアンスが違うのです。自然に対しての姿勢は、有機農業よりもさらに力を抜いた自然体になります。それゆえ生産力は高いとは言えませんがトラクターなど使わずに野菜を作りたい自給菜園の方には自然農が一番と言えるでしょう。ここまでの道のりは紆余曲折、枝分かれ、行きつ戻りつの迷い道でした。それは今も続いています。
 自然農法に行きついた理由をよく訊かれるので、ライフレビューを書き始めました。やや長い連載です。
 

 高度成長期の下町生まれが里山の自然農にたどり着くまで

  こんな人間のすべてを受け入れてくれる農的世界をありがたく思います。これまでの色々な経験を活かして、都会の人たちに里山の多様性の豊かさや愉しさを伝えていきたいと思っています。具体的な活動内容は「さとやま農学校」をご覧ください。
著書に「いまどきの海外協力」(岩波ブックレット)「石窯のつくり方・楽しみ方(農文協)」など。

この動画は2021年のオープンファームの模様です。
コロナ過の真っただ中でしたが、畑は休みませんでした。
映像ディレクターで、現在はイギリスのトッテナム在住の常井美幸さんが撮影・編集してくださいました。
常井さんにはジェンダーの問題を扱った素晴らしいドキュメンタリー「僕が性別0に戻る時」というお仕事もあります。


すどう農園のメールマガジンへのご登録はこちらからお願いします。 メールアドレスを入力してお申込みください。