お醤油づくりの畑のレポート ~津久井在来大豆の畑から


2018年 7月3日

6月25日の種まきから8日経過した畑の様子です。
雨も降ったので元気に育っています。

何しろ鳥にやられていないのが嬉しい。
防鳥テープやテグスだけだった畑では、毎年、「全部食べられた」という悲鳴を聞きます。
ちょっとお金と手間がかかりましたが、ネット張りは必需の作業なのです。

草もちらほらと見えています。
もっと近寄れば、無数の芽が様子をうかがっているのがわかることでしょう。
今度の週末7月9日(日)のお醤油サークルの作業で、草を削って苗を移植して欠株を埋めてしまいましょう。そしてもう一回7月の最終日曜日30日に草を削って土を寄せればれば、かなりいい感じです。


7月9日(日) 二回目の定例作業

鳥よけのお役目を果たしたネットを、大豆に絡まないように静かに外しました。
(高いものなのに、もう捨てるしかない)
そうして暑い中の草取りと土寄せでした。
種まき以上にキツイ作業でしたが、この時期の農作業は、こんなものです。
もちろん現代は管理機などの機械でやってくれますから、そのぶん早く感じます毛れど、さてその農機具を買うために、あるいはガソリン代をまかなうためには、大豆の売り上げから捻出するか、もしくは、大豆と別にさらに「数時間」働かないといけません。決して「機械は早い」と手放しで喜べるものではないのですね。それがさらに除草剤だの除草剤に耐える(と言われるぎが真偽は定かでない)遺伝子組み換えの大豆となると、単にお金だけの問題でなくて、お金に換えられないレベルまで高い代償を払うことになります。
残念なことに、遺伝子組み換えにNOといい始めた世界の流れに反して日本は遺伝子組み換えの門戸を開きつつあります。
今後はこれまで国や県が主導してきた穀物の種苗開発も、今後は民間にゆだねるという名目のもとに種苗法も廃止になりました。民間というのは「タキイ」「サカタ」といった従来の種苗企業でなく、「モンサント」に代表されるバイオケミカル企業です。
菜にはともあれ、私たちは手を動かしていきましょう。


7月19日(水)

Soys ,
So far ,
So GOOD !

乾ききった畑に、久しぶりに雨が来ました。
こんなときは、たった一晩で待ち構えていた草が伸びてきます。

特にアカザなどの背の高い草に越されると、大豆は太陽が欲しくてひょろっと伸びてしまいます。
そうなると実をつける方向にエネルギーがいかず、単にひょろ長いだけのものになります。

午前中かけて、草を取りました。
全部は無理ですが、まずは主だったところを草取りし、土を寄せました。

9日の作業で苗の補植もしましたが、概して育ちが悪いです。
全く雨がなかったですから無理もないですね。
元の大豆は元気に育ってくれています。
風通しも良いので、カメムシなどもおらず、まずは健やか。
小さな脇目も出てきました。ガッチリした苗に育ちますよう。

今月30日にはまた同じ草取りと土寄せをしますが、
その前でも草はまた伸びてきます、もし来られる方はどうぞおいでください。

たった数日で顔を変える大豆の姿。
可愛いですよ。

 


7月30日(日) 雨のち曇り、時々雨


前回の投稿から11日経ちました。
この間、本日も含めて何度かの雨がありました。
そのおかげでだいぶ枝葉もかなり逞しくなり、脇芽も伸びてきました。
凄いものですね!
ますます楽しみになってきました。

この写真は作業の最後に撮影したものですが、朝一番は周囲をアカザが1mくらいの壁を作って囲む、
大変な風景でした。写真を撮っておかなかったのが悔やまれます。


畝間に並べた雑草の様子でご想像いただければと思いますが、
ほんの数日で大豆も変わりますが、草も相当に変わるのです。

そうして雑草のせいで日照を遮られた大豆は太陽を求めてひょろひょろと上に伸び、
その根は雑草と競合し、さらに風通しが悪くなるために虫も居つくという悪循環になります。

そんなわけで、雨にも負けず「お醤油サークル」の皆さんと草取りや土寄せができたのは大事なことでした。

おかげさまでかなり土寄せもできたので、来週は特に活動はご自由モードになります。
もちろん、草鳥や土寄せをさらにやっていただければいいですが、それよりも大豆と対話をしてあげてください。こないだまでの日照りにも負けずに大豆たちがすごく元気なのは、やはり皆さんが愛情込めて通っているからと思うのです。

風に吹かれてぼうっと大豆を眺めるだけでも、感じることがいろいろあります。


8月20日

ぐうん!と育ちました。

こんな感じで、前回と比べてがっつり身体が大きくなりました。
草を取ってやっと通路が見える感じ。
このところの長雨で、一部の枝が折れたりもしていますが、これといった病気も虫もなく元気です。
二枚目の写真は大豆の花。可愛いですね。
この花の季節に雨または潅水がたっぷりあるといいのです。
その意味では水に恵まれました。
かたや、今年の4月に仕込んだもろみ、木桶の中でまろやかに熟成を始めています。
さあ、もう一息。


9月18日(日) 台風18号直撃の翌日

咲く弁の未明は、相模原市内の銭湯の煙突が傾くほどの風が吹きました。
局地的につむじ風、と思われる形跡もあり、大きな桐の木も倒れていて壮絶です。
大豆はおおむね無事ですが、折れたものもあります。無念。
だいぶ緑が濃くなってきて、小さな鞘も膨らんできたところなので悔しいですが、大体残ったところで救われました。
なんとかこの先、無事でありますよう。
織れた枝には小さな豆が。
今週末、どうぞお醤油サークルの皆さんおいでください。
折れた枝を取る作業、お願いしたいです。
そうして、小さな豆は持ち帰って枝豆になさってください。


9月24日

一昨日も夜半に結構な雨でした。
9月も日照時間少なめですね。

18号の直撃で折れた津久井在来大豆の枝の整枝です。
風で茎が傾いたものはぐいっと戻して土を寄せなおしますが、地際の枝は、すでに実りが早いこともあって、
折れかかった枝はもとには戻りません。

そうして除いた枝には枝豆がずいぶんあるので、これは本日のお醤油サークルの皆さんとシェア。
なんといっても枝豆は新鮮なものが美味しい。
津久井在来は糖度が高いので、なお抜群です。
それと一緒に、わずかに生えた雑草も除きました。

もう風の来ませんよう。
できれば太陽がもうしばらく戻って欲しいものです。
収穫まであと2か月。
下の写真をクリックすると説明が出ます。


10月23日

台風21号の直撃で風に吹かれた枝がだいぶ折れました。
8月の「異常な日照時間の少なさで実入りは決して良くはないし、
そのなかで太ってくれた枝の重さが仇になって折れるという、
今年は悔しいことの多い大豆づくりです。
それでまた週末に22号か??

11月 収穫を終えて

津久井大豆が「幻の大豆」などと呼ばれるようになったのは大豆の地際までぎっしり実がつくためにコンバインを入れられないという事情もあります。「お醤油サークル」の津久井大豆も、全部手刈りです。刈り取った株を逆さにして寄せ集めて、風を通して天日干しします。
11月の下旬の収穫期は天気とにらめっこです。さすがに台風の時期ではないのですが、今年は秋の雨が異常に長くてその分生育も-要因となり、ちゃんとかわいてくれるかどうか、それが心配の種でしたが、乾燥はいい感じにできました。それ以前に収量が想定外に低かったのが残念なことです。
ほどよく乾いた大豆を、さらにビニールハウスで干して乾燥を極めます。
3月にはまた埼玉の「中沢食品」さんで麹付けをしていただきます。
夏は長かったですが、ここまでくると一年の早いことをしみじみと実感します。
色々と感無量の「お醤油サークル」みなさんどれぞれの想いもあろうかと思います。
まずは、5月の絞りまで、今しばらくお待ちください。
2018年3月上旬には「中沢食品」さんに大豆を収めるときに見学もさせていただけるようです。
滅多にない機会ですし、50年のお醤油づくりの社長さんにお話を伺える機会でもあります。
お時間のある方はぜひ。


お醤油絞り機をつくっています  その1(2018年 1月21日)

5月に予定しているお醤油のもろみ絞りに向けて、絞り機の自作にかかっています。
醤油に限らず、ひとつの食べ物ができあがるには多くの工程が必要です。
そうした人つながりが技術・知恵のインフラとなって文化を形作ってきました。
しかし例えば、この絞り機もそうですが、つい数十年前にあったものが今はもうない、ということが多い。そのころよりも便利な機会がとって替わったのでなく大きな工場のなかに搾るというプロセスが消えて行って、そうして私たちの手の届かないところに行ってしまったということです。

お醤油サークルは、できるだけこうしたつながりを取り戻す、作り直すということを考えています。
昔をそのまま再現するということでなく、いまどきの事情に沿って、無理なくできる技術の復権です。

安価であること。
わかりやすいこと。
皆が再現・改良しやすいこと。

今回は、ご近所の「フェノミナ・ラボ」さんと共同での製作です。
基本は金属のアートなのですが、森の中のラボでは、木も含めた様々なモノを作っています。
私もかつて石窯の扉や煙突などお願いしたこともある間柄です。

去年のうちから何度となく話し合いを重ねて、たどり着いたところは非常にシンプルな設計になりました。


お醤油絞り機づくり その2(2018年2月12日)

寒風吹きすさぶなか、二度目の製作です。
だいぶ形になりました。ほぼ構造的には完成です。
これがあれば、お醤油もろみだけでなく、いろいろなものも搾れるでしょう。
秋の柿渋も潰せるかと思います。本当に愉しみです。


大豆の選別 2月22日

秋に収穫した大豆を、そろそろ醪にする季節がやってきました。
収穫から年をまたいで遅まきながら大豆の選別です。
もちろん、その前にしっかり乾燥させる作業としてハウスで天日干しをしています。


大豆の選別は、手作業でやったら大変な手間のかかるものです。
昔は手で選別したのでしょうが、石やごみ以外は、大事な大豆なので見た目に問題なく使ったのではないかと思います。
外見は、味噌や醤油にする分にはほとんど問題はないのです。
むしろ形の悪い大豆のほうが味噌にすると美味しいとも言います。


それでも、ごみや石を取り除く意味もあって、本日は農協の選別機にお世話になりました。


1時間かそこらであっという間に選別修了です。

本当に、機械の力はすごいものです。
でもこの機械を買うとなったら、すごく高いのですけどね・・・。

こんな具合に、お米ほどではないですが大豆もそれなりに手がかかります。
蓄えておくスペースも必要です。

穀物は人間の基本形ですが、それだけに場所も時間もかかるものと実感します。
野菜などは(芋やカボチャ以外は)収穫したらさっさと出荷するので、そこが大きな違いですね。


お醤油絞り機づくり その3(2018.02.27)