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ハーブ蒸留器・アランビックの使い方

こんにちは。

神奈川で自然農のハーブや野菜を育てている「すどう農園」です。

自給のための無農薬の野菜づくり教室・さとやま農学校」では、野菜だけでなくハーブも色々と育てています。
ヨモギのような日本の代表的なハーブですら試したことのない人も多く、それどころかスギナやドクダミに至っては、オーガニックのガーデナーですら邪魔な雑草という認識だったりします。

たしかに、こうした野草・薬草類はものすごい勢いで繁殖します。けれどもそれは、非常に生命力が強くて、なおかつ日本の風土に適した身近な仲間であるという何よりの証です。
身近にありふれたものを大事にしない・・・ありがちなことですね。


反面、ことさら遠い外国の珍しい食べ物をスーパーフードなどと称してありがたがる傾向はいかがなものでしょうか?化石燃料を大量に使って輸送されるエネルギーを考えれば、お互いの地域にあるものを大事にしていくほうが「健康的」と思いませんか?
「ないものねだりはやめて、あるもの探しをしよう」これは水俣で地元学を始められた方の名言です。
宝物は足元にあります。

さてそんな、宝物の活かし方の一つが蒸留です。植物の持つ成分のうち、蒸留して気化したものを冷却して蒸留水にする。
つまり蒸留酒と同じ原理です、それのもっとコンパクトなもの。 


写真の蒸留器は「アランビック」というポルトガルの製品です。
イスラームから伝来した技術なのでしょうか、職人が銅を鍛造したフォルムが美しい。このアランビックを使って、農園のヨモギや桃の葉、そのほか季節折々のハーブを蒸留します。小さな蒸留器なので時間はかかりますが、蒸留している間に漂う香りも素晴らしい。すでに出来上がった蒸留水を買うのでなく、そうした間を楽しめるのがいいし、それくらいの心の余裕が欲しいものですね。

アランビック蒸留器を野外で使う

蒸留は、1人で静かにするのもよし、香りを楽しみながら皆で見守りながらするもよし、です。
さとやま農学校」にはビニールハウスがありますが、水道がないので冷却用の水の交換が結構な手間です。水道が荒れば、蛇口からホースを直結してかけ流しのように冷却すればよいのですが、それができないので、手作業で水を交換します。しかし写真でおわかりのように、冷却水を入れる容器(左の筒)が、そんなに大きくないので水がすぐに温まってしまいます。冷却水のタンクを、ここだけ作り直して大きくしようかと考えて専門家の方に相談したところ、別に水タンクを用意して、そこから重力で少しづつ水が送られてきて循環するようにしたほうがいいのではないか、というアドバイスでした。なるほど、それなら簡単!
というわけで、暑い日中の日陰作業でそれをやってみようと思います。これで秋の蒸留がいっそう楽しくなることでしょう。