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醤油のもろみ搾り@国分寺カフェスロー

こんにちは。

 

神奈川で自然栽培をしながら都会の皆さんに農的暮らしをご紹介する講座を開催している「すどう農園」です。


さとやま農学校@国分寺カフェスロー。

毎月1回(第二木曜日の夜)の開催で、種や野菜の育て方と並行して、醗酵にかかわるワークショップをやっています。
先月は「糀づくり」をやりました。

 

今回は、醤油醪(もろみ)の搾りです。
「すどう農園」で昨年の春に仕込んだ醪です。
会場に持ち込んだだけで、なんとも香ばしい気配。

袋に詰めたもろみを両側から板で挟んで絞る。
大量に絞るときには、大きな槽(ふね)で搾りますが、袋に詰めたもろみに圧力をかけるという点では同じです。
 
味噌づくりよりも醤油づくりが広まらないのは、醪がなかなか作れないことと、搾りが大変だからなのですが、そのためにも「少しづつみんなで醸す、絞る」という関係が出来てくるのが大事かなと思います。
仕事や学校とは違う、醗酵仕事みたいな手作業を共有するグループなら都会でもできますね。
醗酵は、食べ物だけでなく人間も変えてくれる、そんな風に思います。
 
さてさて。

醪を絞る前に水で薄めるのですが、その加減がポイントです。醗酵した大豆や小麦の旨み・香りと塩とのバランスがとれていること。
 
プロの方々は「ボーメ」という昔ながらの比重計の一種で薄め具合を決めます。
ボーメを塩分計と思われることもありますが、違います。
醪は、様々なモノのまじりあった状態ですから、塩分濃度は測りようがないのですね。
 
あくまでも醤油や日本酒などの、業界独自の計器です。
長年の仕込み量(レシピ)と「ボーメ」一本、あとは経験と五感。
 
最後に醗酵を止めるための火入れをします。
基本的には酵素を失活させる80度台が基本です(酵素は生き物でないので、いわゆるパスチャライズとは違う温度管理になります)が、温度の微妙な加減や長さなどは、これで出来具合が決まるので、やはり秘伝のようです。

私たちは経験がないわけですから、それぞれの勘所は手探りです。今回は「すどう農園」のほうで硝酸銀を使って「塩分濃度」を測定しておき、それをもとに理論値で希釈倍率を出しました。濃度のベンチマークは市販の醤油よりもやや濃い目。

でも一般の家庭ではそれはできませんから、まずは仕込みのレシピで大まかな塩分濃度を出しておき、それを希釈していく形になります。
 
そしてやはり、決め手は五感です。
塩分はあくまでも一つの目安です。塩の種類によっても鹹さが突出していたり、マイルドだったりと違いますから。
醗酵のトータルなバランスで決めていく感覚の世界です。

あくまで自給を豊かにするための醗酵生活ですので、ガチガチに考えるよりまず、手前みそと同じように手作りの醤油の仕込みを楽しんで行くのが良いと思います。

それにしても、カフェスローの雰囲気は毎月行くたびに、ほっとします。何とも言えない、緩やかで伸び伸びした空気感です。国分寺の街に、そのまま溶けてつながっていく自然体ですね。