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ビロードモウズイカ 路傍の孤高

冬から束の間の春を縫って初夏へ。
それぞれの植物がそれぞれの思惑で、芽を出して花を咲かせる季節です。
あれ?
と思う風景に出会うのも、この慌ただしい季節ならではの面白さ。
植物も虫も鳥も、ドサクサと忙しい中で、どうやって生き延びるかの知恵比べです。
 
ビロードモウズイカは、花壇を背高く彩るものですが、これはこぼれ種でしょうか。
無機質なコンクリートにひとり、孤高の姿勢で佇んでいます。

これはですね、よく見るとつまり、コンクリートの壁の排水溝から生えているのです。
だから水には困らない。そしておそらくほかの植物の競合もない。
もう一つは、コンクリートゆえに太陽の熱で暖まると夜も冷えにくい。
なんとなく寒々しい景色ですが、このポジションが絶好の位置取りであることに気づきます。

同じ作戦をしているのがこちらのヨモギ。
まだ初々しい野原のヨモギに比べて圧倒的に大きく育っています。

よく考えるものです。敬服。

人間界では大きなイベントで出店が並ぶと場所どりは大きなポイントですね。
でも、人通りの多いところだけでなく、絶妙なポジションでお客さんを沢山集めている出店など見ると「さすが!」と思います。それに近い、あるいはそれ以上の戦略を見せてくれる植物たち。毎日横目で様子をうかがっています。