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マダケを伐る・竹細工

竹細工にするマダケを伐る。荒れた放置林の斜面にて。すどう農園
竹細工にするマダケを伐る。荒れた放置林の斜面にて。すどう農園

こんにちは。

神奈川の里山で自然農を営む「すどう農園」です。

この季節が一番好きです。関東の冬は対して寒くはないし、秋の長雨もさすがに落ち着いて高気圧が優勢になる。
日が短いということは野良仕事も早く終わるということで、そのぶん春に備えていろいろなことを考える時間があります。
冬至を過ぎて日が長くなるのを喜ぶのは、よほど緯度の高い地方の人たちのことで、今はこの静かな時期を味わえばいいのにと思います。

竹林も冬が良いです。ふっくら竹の落ち葉が積もったなか、ひそひそと生き物が佇む気配に耳を傾ける。
そうしてまずナタで竹の枝葉を落とし、本体をノコギリで伐っていきます。
ただし、増えすぎた竹を本格的に退治するなら真冬でなくて、タケノコがすっかり伸び切った季節を狙います。つまりタケノコが地下茎の栄養を吸い上げて枝葉を伸ばし、サアこれから新しく栄養を地下茎に蓄えるぞ、というタイミングで地上部を伐ります。竹林というのお互いに地下茎でつながっているので、いわば糧道を断つ作戦。しかもこのタイミングなら竹はまだ非常に柔らかいので、ノコギリがなくても蹴っ飛ばしたり、あるいは棒でぶん殴るだけで折れていきます。太い草と思えば良い。気持ち良いですよ・・・と言いつつ、この時期は畑の作業に追われて、ちょっと離れた竹のエリアまで芽が行き届かない所、反省しきり。来年こそは。

竹細工にするマダケを見分けるのは難しい。荒れた放置林なので、これほど本数があっても使えるのは少ない。
竹細工にするマダケを見分けるのは難しい。荒れた放置林なので、これほど本数があっても使えるのは少ない。

マダケを竹細工の素材にするための見分け方

竹細工に使うマダケの見分け方。斜面に生えているもの、光の当たり方をよく見て竹林を選び、竹を選ぶ。すどう農園にて
竹細工に使うマダケの見分け方。斜面に生えているもの、光の当たり方をよく見て竹林を選び、竹を選ぶ。すどう農園にて

そんなところに、とても素晴らしい出会いがありました。お隣の上野原に拠点を構えて、各地で竹細工を教えていらっしゃる戸崎さんです。じつは「さとやま農学校」の受講生の皆さんも、戸崎さんに竹細工を教わっている方が多くて、やはり野菜づくりから手しごとへと、流れは自然につながっていくのですね。いつかご挨拶を、と思っていたら、お弟子さんの三嶋さんにばったり出会い、そこから今回の竹林に来て頂いた次第です。ちなみに三嶋さんとは町田の自然堂(じねんどう)でHACHINAの木村陽子さんが開催されていた玄米ご飯のワークショップに参加したときに出会いました。木村さんにも久しぶりにお会いできたら、そんなご縁がつながったわけです。ここ数年、私はコロナとは関係なく外に出るのを控えていましたが、こうして畑の外に出るのもいいことがありますね。あるいは、そういう流れになっているのかな。

竹細工のマダケの見分け方。こうして節がだんだん黒くなってきた3年生のもので、節間が長いものを選ぶ。
竹細工のマダケの見分け方。こうして節がだんだん黒くなってきた3年生のもので、節間が長いものを選ぶ。

竹を伐るときには、地上から1mくらいの高さで切ります。こうすれば後で尖った切り口を踏んづけるリスクも少ない。しかも、数年立てばこの切り株が虫歯のように、手で揺するだけでぽっかり抜けるのです。

こんな具合にです。なので基本的にはノコギリでなんとかできるものです。とにかく大事なことは、放置して伸びすぎる前に手を入れること。油断すればひと夏でとんでもなく前進してきます。竹のチッパーなど荒れば粉砕して畑に使えるし、あるいは竹炭にする人もいますが、これは火を使うので雨のタイミングに合わせられたらいいですね。と思いながら、なかなかそのタイミングが取れないものです。小雪でも降った後に燃やせれば延焼のリスクも少ないのですが、近頃はその雪もあんまり降らなくなりました。今年あたりは降りそうな予感。この予感は昨年は外れましたが・・・。