· 

自然農の土・プランターの土

こんにちは。

 

神奈川・相模原(相模湖)で自然栽培の野菜やハーブを育てながら農的暮らしの講座を開催している「すどう農園」です。

 

雨の週末、各地の豪雨の様子に気を揉みながら、無用な外出は危険なので自宅で資料の整理をしています。

上にアップした動画は「自給の野菜作り教室・さとやま農学校」の最初の年のもの、2014年です。受講生の皆さんと農園の果樹園で土の様子を見てみました。まあこんな感じで、棒がスルスルと入っていきます。特別な事をしているわけではなくて、下草を生やしては刈って敷くというそれだけのことです。自然界の森で行われている循環にやや手を入れて栗を邪魔するような植物が伸びすぎたら刈るというだけのことですから肥料などもあげていません。もちろん除草剤や農薬は一切使いません。

 

農薬や化学肥料、除草剤などを使う果樹園は、土も固くなってしまいます。根の張りや土壌の微生物・昆虫などの生態システムもアンバランスなものになり、いきおい病気や虫の発生も多くなります。ただしカミキリムシについては、先日のエルダーフラワーの投稿でお見せしたように、防ぎきれないものもあります。自然界ではカミキリムシに食われた期は枯れて朽ちて、そこから新しい別の植物にバトンタッチしていく大きな流れがあるので、そのあたりは人間の「果物を食べたい」という都合とは相反するわけですね。ではイノシシのように森でドングリが食べられるかというと、ドングリは非常に栄養価が高いのですが、しっかりアクを抜かないと食べられないし、やっぱり栗の方がいいなあ・・・というような自問自答をしながら何年たったやら、です。

 

ことほどさように、農作業の時間というのは、体を動かしながら思索できるのが素晴らしいところです。本来、人が何かを考えるのはやはり五感を緩やかに動かしているときがいちばん無理のない思考ができるものでしょう。 

こちらの写真は、木曜日に行われた「さとやま農学校@国分寺カフェスロー」のひとこまです。
皆さんの育てている野菜の様子はFBなどで確認しつつ、講座の日にはそれをまたスクリーンに映して話をするという形式をとっています。
余談ですが、本当に今は便利な時代になりましたね。かつては写真のフィルムからスライドをつくって、それをオーバーヘッドプロジェクターで映すという時代でしたから、あの頃と今とでは別世界のようです。
それほど情報のやり取りが便利になった時代だからこそ、実物のリアリティは大事になります。オンラインでは伝わらないもの、五感を通じてこそわかるものがある。
それがコロナのおかげで今年はとんでもなく五感が閉じ込められてしまいました。これは特に子供に大変な影響があるはずなのですが、すぐに目に見えた被害がどうこうなるというよりも、将来にわたって人間性の深いところで何か淀んだものが残らなければいいが・・・と憂いています。

 

皆さんの寄せてくださる野菜の様子は、質問されても答えに詰まることがしばしばです。難しい。
そこで昨年と同じように、皆さんにお互いのプランターの土や庭の土を持ち寄っていただきました。粘土質の多い土、粗くて水持ちの悪いそうな土、団粒構造のできた土など微妙に違いがあるものです。果樹園でもプランターでも、土の世界は広くて深いし、だから面白いものなのです。大事なのは小さなプランターひとつでも何から何まで買ってそろえるのでなく、自分で作ったぼかし肥料や自分で採った種など、なにがしか外の世界とつながっていることです。プランターという閉鎖系でなく、どこかとつながるハブがあること。これは台所にも通じますね。今回は大麦やクローバーの種をお配りしましたが、先月からカフェスローの中に設置してあるshareSeedさんの種(のらぼう菜とフダンソウ)もシェアさせて頂きました。ありがとうございます。