収穫を終えたトマトの根っこを「さとやま農学校」の皆さんと掘り上げて、伸び方を観察します。
前年に地ごしらえをした畝(落ち葉や枯れ草を踏み込んであります)、
それからクローバーを緑肥として生やしているだけの無肥料栽培をした畝の両方。
実をつけて枯れるまでのトマトの一生・実のつけ方は、両者でずいぶん違うのです。
同じ種から育てても味も違う。どちらも美味しいのですが、そこには個性が出てきます。
氏より育ち、と言いますね。
野菜もそれがあります。どんな風に育ったかで、味が違ってくるのです。
野菜の育ちは、根を見れば伺えます。
ですから「さとやま農学校」では、根を見ることを重要視します。
地上部だけでは見えないものが見えてくるのです。
人間も、本当は腸の中まで見えるといいのでしょうね。
まずはじめに、株もとの敷き草をどけます。
小さな虫やミミズ、地クモ(巣を張らずに、地面の上で暮らすクモ)などが、突然の日光を浴びて慌てているのも可愛い。いろいろな生き物がいて、なかにはトマトの害になるものもいるけれど、誰かが独り勝ちすることはない共存の世界です。だからシステムとして、安定しています。
古墳の発掘みたいに、ゆっくりと慎重に土をのけながら根を追いかけます。
根を切らないようにそっと掘る。
これがなかなか楽しい。
土もほっくりと大小の粒粒が団粒構造(クラスタ)を作っていて、これを眺めるだけでも穏やかな気分になるのがオーガニックの世界です。人間が作ったわけではなくて、おのずから形を成す自然の妙味。ここでポリマルチをしてしまうと、たしかに真夏の草取りは楽になるのですが、こうした多様性がてきめんに失われてきます。 小さな農・自給的世界ならではの贅沢な宇宙です。
どちらの畝のトマトも、立派な根を伸ばしてくれましたが、とりわけクローバーだけの畝に植えた無施肥栽培のトマトの根は、実に太くて長いものでした。伸ばしてみたら180センチありました。その根の向かう先は、隣の地ごしらえの畝を目指していたようなのですが、根が栄養を求めて伸びる能力は人間には伺い知れないものがあります。
地下の世界では、植物の根と、微生物と、昆虫やミミズ、キノコのような菌類、小動物が、まだまだ人間には解明できていないネットワークをつくって、やり取りしているのだそうです。
その究極が森林で、樹木どうしは無関係に生きているのでなく、時に排除しあうこともありながら共助共生して世界を作っています。
いわば自然栽培は、森林のような多様で持続可能な自然界の流れに寄り添って、野菜も作らせてもらおうというものです。これは理屈よりも五感でわかります。
今日は久しぶりのお日和で、いい一日でした。
とりあえず、どんなところか見てみたいという方は、どうぞお越しください。
お申し込みをいただいた方には、講座の始まる前から様々なお楽しみ特典があります。
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