ノカンゾウの野生

野草のノカンゾウが旬です。
これは根塊で増えるので、野焼きをした河原のあちこちに、のびのびと葉を伸ばします。
さっと湯にくぐらせた酢味和えは、シンプルで飽きません。
このあと、夏の終わりのオレンジの花もまた「金針菜」という中国料理の食材にもなる優れたものです。

自然の河原育ちで、一番元気なものが、写真のように石の際から伸びてくるものです。ものすごい勢いで、それこそ石を持ち上げんばかりです。
もっと日当たりの良い場所はいくらでもあるのですが、この連中には敵いません。
同じ日に、すぐ近くのすどう農園の畑で撮影したノカンゾウが二枚目です。河原から昨年移植したものです。きれいに揃っていますが、野生のノカンゾウと比べると体格がおとなしいですね。

こんな逆境ともいえる環境で、どうして勢いがあるのか。
それは石のつくる微気象によります。石があることで、その下は適度な湿り気を保ち、そして晴れた日の晩には石が蓄熱体になって、まさに湯たんぽみたいに放射冷却を防いで地面を保温してくれます。そんな水気と温度の中で微生物も繁殖し、その微生物を食べる小動物、ミミズなどもコミュニテイーをつくる。おそらく石の下にはそんな世界があるのでしょう。それゆえの、ノカンゾウの弾けるような育ち方があるのですね。

このように石一つでも、そこにある以上は意味があります。
生きていないけれど生きている。と言えます。

春は色々なものが動き出す季節なので、そうした変化の中でそれぞれがかかわりあって生きてくる様子も良く見える。毎日眺めて飽きない世界です。