首都圏から日帰りの農業体験・さとやま農学校
水曜コースの本日は、猛暑だった前回までとは打って変わって涼しい一日。
曇り空で紫外線も気にならず、がっつり作業ができました。
夏を超えた受講生の皆さんも、毎年のことながら、ここまでくるとさすがに体の動きが違います。鍛えるというよりは、慣れてきた感じ。野菜や土に親しんだ歩き方になっています。
ここが大事なところで、季節を通じて、土と触れて五感を開いて観察すること、それだけでものすごい変化があるのですね。ぎじゅっ的なことよりももっと深いレベルで深まっていきます。それは、トラクターや耕運機を使っていたら、わからない微細な感覚です。
私も都会にいたからよくわかりますが、たとえば電車の中で五感を開くことなどできません。むしろ感覚を閉じて、今ならスマホの画面に意識を向けるでしょう。それが続くと、人間としての基本形がだんだん失われていくことになります。
月に数日でも、季節が変わる中で、五感を開くことの大事さは、実感すればわかっていただけます。
春の頃からすれば目覚ましい皆さんの動きです。
慣れた感じ。力づくでなくて、自然に溶け込んで作業を進めています。
農園で種取している固定種は在来コマツナ・ルッコラ・津田カブなど。
今回新たに日本ホウレンソウ「豊葉」
苗の定植も、アブラナ科色々。前回植えた大葉春菊やビーツも元気です。
東京・国分寺に昔から伝わる幻の「古代赤米」を育てています。
国分寺の「古代赤米プロジェクト」さんからお分けいただいたモミで育てました。
ここまで出穂してきたので、あとは何とか鳥に食われずに収穫までこぎつけたいところです。
私たちの地域・旧津久井郡に伝わる大豆「津久井在来」も、実をつけ始めました。
台風でも倒れないように、もう一度土寄せ。がっちりと立ち上がることで根張りもよくなります。
四葉キュウリの後は地這キュウリ。
これは台風でも強い収穫、地表近くの逆転層の温度が暖かいので冬近くまで収穫できます。
見つけるのがちょっと大変ですが。
アマランスはきれいですね。
農学校で作るのは初めてですが、秋の日に揺れる様子がきれいなのです。
アマランスの食べ方はいろいろあります。
脱穀した粒をキヌアのようにスープにしたり、パンに入れたり、炊いても美味しい。
収穫の時に鳥に狙われるので、そこをクリアすれば、可能性の大きな作物です。
ネギは二種類作っています。
いわゆる一本ネギとしての下仁田ネギと、写真は株ネギの九条。
ご存じの京野菜ですが、一本ネギのように毎年種をまいて苗を育てるのでなく、
植えた苗が分かれて増えるので、それをまた分けて植え付けていきます。
つまり、同じ遺伝子系で代々育っていくわけですね。
サツマイモなどの栄養系繁殖に近い。
なので「我が家に代々伝わる株ネギ」というのが、まだ残っている場合もあります。
ヨーロッパでは「エアルーム」といいますが、その過程に代々受け継がれてきた作物のことです。九条ネギと一口に言っても、今や全国ブランドですから、市販の種だけでいろいろな品種があるそうです。むしろ地元の株ネギで、おいしいものが手に入ったらそれを育てるのも、大事なことかと思います。
島オクラは、ふつうのオクラよりも長目でも食べられます。それでも長くなったら、おろし金でおろして、筋は裏ごしして食べます。トロロみたいですね。
アフリカ原産のオクラも、今年は長雨で育ちが遅れました。今頃は背丈を超えるのですが。
それでも収穫は食べきれないほどです。
これぞ、とマークした種取利用のオクラには赤いテープでマーキングします。
11月ごろ、カラカラに乾いて熟したオクラのさやごと収穫し、種を採りだして保存します。
後半は、作業を判断しながらできるようになってきます。
みんなで育ててみんなで収穫して、時には焚火で一緒に食べる。
さとやま農学校は「一坪菜園」ではなく、「ともに」という部分を大事に考えています。
農というのは、本来個人だけでできるものではありません。
大変な作業も楽しい作業も一緒にやる。
お互いさまで助け合う、そんな関係があってこその農業なのです。
キクイモ(トピナンブール)は、多糖類イヌリンを含む健康食品として脚光を浴びてきました。キクイモの食べ方は、いろいろな料理法があります。シンプルな料理法では、ポテトチップみたいに揚げてもよし、ミキサーにかけてからジャガイモなどと一緒にことことポタージュでもよし。さっと湯がいてサラダにも和えます。さとやま農学校では、その場で焚火を起こして焼いて食べたりもします。
素朴な黄色い花が咲くのも間近です。
本日の収穫 トマト3種類・地這いキュウリ・寺島ナス・内藤唐辛子・ピーマン・ヘチマ・ニガウリ・レモングラス・スイートバジル・九条ネギ・島オクラ・ツルムラサキ・東京カボチャ・バターナッツカボチャ・ズッキーニなどなど。
長雨で押していた夏野菜の収穫も盛りで、これからは秋野菜の新鮮なヤングリーフや、根菜の間引きなどもクロスオーバーしてきます。帰りのエコバッグが重くなります。種から育てた野菜の味、料理法なども皆さんとシェアできるのも楽しいところです。
トマトと四葉キュウリの種取の実演もして、盛りだくさんの一日でした。
次回からは、農園のクリなど焚火でほおばりながら、おいしく楽しく秋モードに突入です。
「さとやま農学校秋のショートコース」は、まだ参加枠が少し残っています。
ほかにも「講座・火と暮らす」「講座・森のガーデン」など、都会と農的空間をつなぐ講座があります。
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