ニンジンの種とジャーナリズム

自然栽培(固定種)のニンジンの種@さとやま農学校・すどう農園
自然栽培(固定種)のニンジンの種@さとやま農学校・すどう農園

 

こんにちは。

 

神奈川・相模原の里山で自然栽培を営む「すどう農園」です。

 

自然栽培ニンジンの種取りの季節になりました。

ニンジンの品種は、もう何年も種取りを繰り返している「黒田五寸」です。黒田五寸は、在来品種ではなく交配品種なのですが、種取りが可能です。「自給のための農業体験・さとやま農学校」では、毎年50本くらいの母本を秋に選抜して7月近くに種を採り、二種間ほど冷蔵してから種をまきます。

 

写真で見える小さなワラジムシのような一粒づつがニンジンの種です。できるだけてっぺんの頂花と呼ばれるものが良いです。脇から出てくる小さな花は早目に切ってしまいますが、可愛いレースフラワーなので花束になります。ニンジンの花はネック(茎)も強くて折れにくく、花持ちも良好です。

 

以前のブログでも紹介したように、種まきの際には、このワラジムシみたいなのを手でほぐして蒔くこともあれば、そのままの姿で蒔くなど、色々試しています。まあ結局は発芽してくれるものです(笑)、あんまりこだわる必要はないかな。

 

おそらくニンジンの生産者さんで種取りなどしている方は1万人に1人いるかどうかでしょう。ちゃんと発芽するかどうか不安、不揃いになったらいけない、そもそも手間がかかる、というのが大方の理由で、それは無理もないことと思います。大規模なニンジン栽培になるほど、種子も薬剤でコーティングされて、さらにシーダーテープというセロテープみたいなものに一定の間隔でコーティング種子を貼り付けたものも使われます。きれいに整地された畝にシーダーテープをピッと伸ばしていけば、シーダーテープはやがて溶けて綺麗に揃って発芽するという仕組みだそうです。ニンジンはきちっと揃って発芽するかどうか、それが生産者にとっては非常に重要なので、コストはかかっても、このような栽培方法になるのでしょうね。

 

いっぽう、自然農の小さな畑であれば、むしろ発芽の不揃いは悪いことではありません。生育がずれることで、日照りや大雨など気候変動へのリスク分散にもなるし、だんだん育ってきたものを間引いて食べればいいわけです。ニンジンの葉っぱも乾燥させてミルで挽いてしまえばスパイスになります。無農薬だから安心。あるいはいっそのこと、ウサギを飼うというのもありですね。私も畑にウサギ小屋が欲しいのですが、仕事が増えるからという理由でスタッフから許可が出ません(笑)。確かにウサギはネズミの仲間なので大変な勢いで増えるのです。

ニンジンの花とTansa

ちょっと話は飛びますが、私(すどう農園)が購読しているメディアの一つがTansaという独立系の団体です。ご存じのように大手のメディアはテレビも新聞も、スポンサーや政府におもねるばかりで、例えば遺伝子組み換えやPFOAなどの情報はほとんど報道していません。大手のメディアにとってのクライアントはあくまでもスポンサーであって、視聴者はスポンサーからお金を得るための、いわば「餌」みたいなものですから当然、とはいっても諸外国のメディアと比べてもいかにも腰の引け方が悪い意味で抜きんでているのはなぜ?と思いませんか?

というわけで、いまは東京新聞とNYTimesの電子版のみ購読。テレビはだいぶ前にやめました。Tansaは企業のスポンサーは一切取らずに、視聴者からの寄付だけで運営しているようです。当然ながら経営は厳しいようですが、それでも若手のジャーナリストが丹念な記事を製作しています。

そのなか、先だって入社された方がコラムで「ニンジンの花」について書いていました。以前のお仕事先で農家さんのニンジンの花を初めてご覧になったのだそうです。とても貴重な体験と思います。これが言いたかった(笑)。

 皆さんもぜひ、Tansaのような若くて志のあるジャーナリズムを支えてください。