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自然農トマトの10月

自然農でトマトを育てる

自然農でトマトを育てる@さとやま農学校・すどう農園
自然農でトマトを育てる@さとやま農学校・すどう農園

こんにちは。神奈川・相模原で自然農を営む「すどう農園」です。
「自給のための無農薬の野菜づくり教室・さとやま農学校」のトマトの様子です。

トマトは膨大な品種があり、また育て方や気候風土に寄っても育ち方が全く違うので、自分にあったトマトを選び、そして種を取りながら固定していくのは時間のかかることです。「すどう農園」でも、これまで色々なトマトを試してきました。固定種ならいいかと言うと、決してそうではないし、また畑が数百メートル違うだけで同じ苗の育ちが全く違う。しかも長期に渡って育てるものですから、トマトと畑の相性がミスマッチだと、それは無残な一年になります。

今年の農学校でも、例年のように大玉、中玉、ミニトマトの数種類を作ってきました。露地栽培とハウスの中での栽培にも分かれているので、幾つかのバリエーションがあります。近年の豪雨化で、トマトの栽培については自家菜園であってもビニールでの雨よけは必須となってきました。雨が多いほどトマトは栄養過剰になって樹が暴れます。つまり枝葉ばかりが茂って実付きが悪いバランスの乱れたものになりやすい。茂りすぎた葉は、湿気を嫌うトマトにとっては病害の元にもなります。
 

そうしたなかで夏にくたびれた様子の大玉トマトに比べて、ミニトマトと中玉トマトは、静かに淡々と育ってくれています。10月が暖かくて台風の直撃もなかったこともあるのでしょうが、まだ収穫が続きそうです。嬉しいものです。
農学校の皆さんには、とにかく整枝の仕方を覚えてもらっています。トマトの育て方は、実に千差万別で様々な手法があるのですが、トマトが育つ基本形を覚えて、あとはそれぞれの状況に応じて工夫していくことです。若くて健康な状態のトマトトよく対話して、その先は理屈よりも手で覚えていくこと。トマトの栽培は、虫をとったり、脇芽をとったり、バランスを整えたり、滴果したり、本当に手間のかかる野菜なのですが、それが逆に楽しいわけです。

自然農のトマト栽培の種取り・自家採種

自然農のトマトの種取り@さとやま農学校・すどう農園
自然農のトマトの種取り@さとやま農学校・すどう農園

こうして肥料も農薬もない自然農で育ったトマトの中から育ちの良い株を選び、幾つかの実を完熟させ、収穫して種を取ります。写真はだいぶ拡大したトマトの種ですが、この中から形の良い種を選んで来年につなげます。これを繰り返すことが「トマトの固定化=この畑のトマト」になるわけです。春先になって自家採種のトマトが芽を出したときの愛しさは「今年も生命がつながった!」という喜びに包まれます。これは買ってきた種や苗では味わえない感覚です。

自然農のトマトの種取り@さとやま農学校・すどう農園
自生えトマトの種を取って固定種にする@さとやま農学校・すどう農園

畑のトマト(サン・マルツァーノ)がそのまま翌年芽を出してきます。いわゆる「自生えトマト」です。もう4年目になります。ここまでくれば畑の気候風土に適応した個体なので、とても自然に育っています。ちなみにトマトは同じ場所に続けて栽培してはいけない「連作障害」というのが常識ですが、それも一切ありません。考えてみれば当然ですよね。種がこぼれてそこからまた芽を出すのが本来の姿なのですから。つまり連作障害とはことさらなことが原因で土のバランスを崩してしまった、あくまでも外部的な生理障害なのです。
この写真だとわかりにくいですが、全く病虫害がありません。葉の色も形も無垢なものです、こうした姿を見ると自然農でさえ、ずいぶん手間をかけすぎているなあと思ってしまいます。ただし、この状態で収穫するのは大変なので、来年の初夏には、ここからまた出てきたトマトの苗を掘り起こして、すぐそばに移植して収穫しやすくします。

自然農の「自生えトマト」@さとやま農学校・すどう農園
自然農の「自生えトマト」@さとやま農学校・すどう農園

自然農を基本形から学べる「さとやま農学校2022コース」の説明会も来月から始まります。少人数で行いますので、すでに満員になっている回もあります。この説明会に参加しなくとも本校是へのお申込みはできますが、お子さん連れなど家族での参加をご希望の方は、とりわけ説明会へのご参加をお勧めします。翌年3月からの本講座の開講にさきがけて1月から土作りなどの基本形のプレ講座も始まります。