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トマトの露地栽培・梅雨の場合

無農薬栽培のトマト・梅雨の露地栽培@すどう農園
無農薬栽培のトマト・梅雨の露地栽培@すどう農園

こんにちは。

 

神奈川・相模原(相模湖)で自然栽培の野菜やハーブを育てながら農的暮らしの講座を開催している「すどう農園」です。

 

いきなり豪雨の梅雨です。西日本から静岡まで、たいへんな大雨となっているようですね。こちら相模湖のすどう農園の畑でも、雨もすごかったですが小さな台風並みの風が吹きました。梅雨前線が北の方を通過したからでしょうか、夜半の南風が相当に激しかったようで、周辺の農家さんも夏野菜のピーマンなどがだいぶ折られてしまったそうです。これからシーズンが始まったばかりの今の時期にやられるというのは相当にショックでしょう。梅雨入りしたら台風が来る、というくらいの極端なシナリオを織り込んで作型をしていく時代になりました。これまでの作り方は、参考にはなりますが、それだけでは十分ではなくて、とにかく自分なりに工夫していかないといけません。雨風に強い作目、品種、畝たて、土づくり、もろもろを最悪のシナリオを想定して作っていくということは、決して悲観的にやるということではありません。農業の歴史は常にこうして経験を織り込んで長い積み重ねの中で改良を加えてきたものですし、昔に比べたら情報量は圧倒的に有利ですから(むしろ振り回される方が心配)、地道に手を動かして観察していくことです。

 

今年のトマトは写真のように、防風を想定してフラワーネットで支えます。そしてもう一つ特徴的なのが、支柱を立てないということです。そもそもトマトは地面を這いながら先端部だけ鎌首のようにもたげているのが野生の姿です。それが無理ない姿なのです。今回のトマトも、あえて支柱をしないことでトマトは自然にしりもちをつくようにへたり込んで地面につき、またそこから持ち上がります。酢押して持ち上がった高さからネットで支える形です。徒長させて苗を横に植える方式がありますが、あれに近い形です。

トマトの露地栽培は気根を活用する

写真はトマトの気根(きこん)が出ているところです。手前の赤い線はトマトを支えているフラワーネットです。トマトは支柱で立てていても、空中からこのように新しい根が出てきます。今回は支柱を使っていないので、トマトがへたり込んだところで、この気根に土を寄せてこの根を伸ばします。そうすると根の張りが増えることでしっかりと態勢も維持されるし、栄養の吸収も活発になります、ちなみに「すどう農園」のトマトは秋になると180センチほどの根が地表近くに伸びていきます。
 

大雨のときには、脇芽のかきとり作業も機械的にどんどん取ってしまうのでなく、様子を見ながらやっていきます。栄養の状態や土の水分の状態をチェックしながらトマトと対話して脇芽を取り、トマトの体調を整えていきます。ここがトマト栽培の面白いところです。やたら元気に茂りすぎてもいけないし、元気がないのも困る。そもそもどの状態を持って元気のバロメーターにするのか、というようなところを「首都圏の日帰り農業体験・さとやま農学校」でも々やっていきます。7月から9月までの夏場の中心メンバーになるのがトマトですが、それくらいしっかり続けて観察することで長い期間にわたる変化が感じられるようになります。トマトは野菜作りの素材としても非常に大事な野菜です。
 

相変わらず穏やかでないコロナ事情ですが、ここまで来たら長い目で見て構えることが大事と思います。感染対策で心身を閉じることが多いぶん、合間を見ては体も心もできる限り自然界に開いていくことです。もしもそれがほとんど叶わない生活環境であるとしたら、それは非常に苦しいことになるでしょう。皆さんそれぞれのご事情や思いがあってのライフスタイルでしょうがしかし、いまの状況はおそらく繰り返します。先ほどの天候の話と同じで、やはり最悪を織り込んで生きていく算段を立てる。それはワクチンが開発されるまで自粛を続けるということでなく(最悪の場合には、たぶんまた新しいウィルスが出てくることかと思いますから)、太陽にも土にもまっとうに触れられない生活からの脱却、訣別。特に若い人ほど、大胆に考えていくこととお勧めします。移住のインフラも相当に整備されてきているし、ハードルはだいぶ低くなっています。
 

7月11日と19日に「オープンファーム」を開催します。農学校の秋のショートコースの説明もしますが、それ以前の今の状況をざっくばらんに話せたらいいと思っています。夏の開催は初めてですが、暑さを避けて夕方の開催です。どうぞお気軽にお越しください。