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台風2号で見えてきたもの

 

こんにちは。
神奈川・相模原の里山で自然農を営む「すどう農園」です。

先日2日の夜半から関東地方に集中豪雨を降らせた台風2号は、「すどう農園」周辺は風がそれほど強くなかったため、幸いに大きな被害は出ませんでした。しかし、中山間地の風の具合は、ほんの少し距離を隔てただけで大きく違うものです。山筋の場所によっては、非常に激しい南風が吹いてハウスもビニールがめくれてしまったと聞きました。天気予報だけでは判断できない難しさがあって、これまでの経験をもとに、想定されるリスクを最小に抑えるしかないのです。

 

さて水はひいたものの、台風の被害は、時間をかけてボディーブローのようにじわじわと表面化してきます。地下に滞った水が、次の雨でプッシュされて割れた地盤から噴き出して崖を崩す事例は、今までもありましたが、おそらくこの先の台風シーズンにかけてまた随所で起きてくることでしょう。大地そのものが疲労を極めているわけです。

 

あるいは視野を小さく絞って、野菜個々の規模で見ても、大雨の後は病気が出やすくなります。雨で跳ねた泥が野菜にかかって病気が出るという説明が一般的です。しかし、泥がはねた程度でどうして病気になるのでしょうか?そんなに植物とはひ弱なものでしょうか?それを言ったら野草などはしょっちゅう泥をかぶっているわけですが・・・?
むしろ大雨の副作用は、それによって土の中の過剰な肥料分が根から過剰に鳩首されて怒るバランス障害によるものが大きいと私は思います。露地栽培の場合、肥料は雨が降れば降るほど水に溶けて根から吸収されます。とりわけ窒素分は植物の細胞の内側に蓄積されます。植物の細胞には細胞壁があるのですが、細胞壁はおおむね炭水化物がメインなので、肥料分は内側に蓄積して、細胞の容積を増やします。風船の空気を膨らませるような具合に、細胞壁はますます薄く、弱くなります。このような脆弱なところを細菌や虫に狙われて病虫害になるのでしょう。今年もおそらく全国各地で豪雨が頻発することでしょう。肥料を多用する農法は、そもそも肥料代も高騰しているし、色々な意味で転換期ではないでしょうか。かといって、大きな野菜を育てたい生産者の気持ちはよくわかります。ほとんどの場合、収穫は目方が多いほど販売高のアップにもつながるわけですから。

 

であればなおさら、野菜はできる限り自給していった方がいいです。ことさらに施肥で大きな野菜にするのでなく、じっくり栄養の詰まった充実した野菜をつくる。これに尽きると思います。

自給のための自然農を学ぶ・さとやま農学校」は台風一過の空のもと、野菜を収穫し、同時に草も取り、空いたスペースに種をまいていきます。同時にやるのがポイント。作目によっては苗で植え付けるものもありますが、同じものばかり作るのでなく、多様性を大事に組み合わせていきます。いくつかの野菜の科を組みあわせることで、互いの害虫を忌避したりあるいは根圏の相互作用など、多面的な相乗効果があります。もちろん野菜だけでなく、昆虫やミミズ、微生物、鳥などの生物も共生する空間ができてくるのです。

 

すどう農園の7月のオープンファームでも、そのあたりの話をリアルにご案内できると思います。まだ「すどう農園」に来られたことのない方が対象です。自然農の畑をまったく見たことのない方も、どうぞお越しください。