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3月の驟雨に思う

 

こんにちは。

神奈川・相模原の里山で自然農を営む「すどう農園」です。

昼間は5月の陽気という暖かさ、というよりも暑かったですね。朝の玄関を開けると、昨日とまるで違う空気。ぶっと蒸れあがったような気配でした。

今日は古い小屋を一人で片付ける作業でした。十数年前、農園の隅で小さな廃材の小屋を建ててチャボを飼っていたのです。
当時は「さとやま農学校」もなくて、朝から夕方まで誰にも会わないことが普通でした。
今から思えば、あの静けさはどこか懐かしい。自分と周囲の世界の境界線があるようなないような、お互いに輪郭を溶かしあうような時間がずうっと流れていたものでした。あの時間が懐かしい。

竹や草を刈っていると、10年以上昔に片付けた長靴などが出てきました。ついこないだのような気もします。当時も今も、季節に背中を押されてやってきた、そのこと自体は愉しいことです。人に急かされるのはきついけれど、太陽や雨風に促されて、ときには驚かされて大変だけれど、季節の流れは人智を越えるものだから、何があったところで恨みようもないわけですね。

 

お昼休みを過ぎたころから雲と風の空になり、ちょうど一仕事の段で急に驟雨。
これは昨年の春も同じでした。春の雨ではない激しさです。昨年はこうした雨が断続的に続いてそのまま梅雨入りしたのでした。すでに春は、こういうあらぶれる季節になったのでしょう。

だからこそ、ますます自然農は有効になります。大きな自然界の流れをそのままに受ける、そうして時に過剰な風や雨は受け止めずに半身に構えて逃がす。天地の力が大きいほど、その力と上手く呼吸があったときは嬉しいです。

雨に吸い出されるように桃の花も咲き出しました。写真の桃の木は、農園に数本生えているうちでだいぶ弱っているものなのですが、それでも健気に花を咲かせています。ありがとう。
そうしてもちろん野草もぐうっと伸びてきました。何もかもタイミングが例年より早いです。

ヨモギの季節の始まり

ヨモギの小さな芽もいたるところで伸びてきました。
嬉しいのですが、何しろ農園は人でも足りないゆえ、摘み取り体験もあれば生葉の発送まで、すべてをこなすのは非常に難しいです。どうしたものかと迷い、そこで今朝ほど、今年のヨモギのことでメールマガジンの購読者の皆様にアンケートをお願いしました。早速たくさんのご回答をいただいています。ありがたいことです。ご感想や希望などのメッセージも多数いただいているので、ゆっくり拝読しています。そして4月の30日(日)は、ヨモギに限らないでゆっくり里山の野を散策していただく企画を考えています。詳細はこちらもメールマガジンでお伝えします。さとやま草木譜も少しだけ空いています。滋養たっぷりなネトルが今年も伸びてきました。お楽しみに。