考え続ける流儀

むかしあるところの勉強好きな子の話。

家が貧しいので学校に行けず、働きながら一人でずうっと毎日毎日数学のことを考えていたそうです。ふと自分で思いついた問題を何十年も考え続けてある日、ついに問題が解けた。大喜びで近在の学校に駆け込んで先生にその内容を披露した。

紙に記したものをゆっくり広げて見せた。

節くれた指で、薄紙の文字をなぞって説明した。

 

ああ、と先生が唸ったかどうかは分からないけれど、書かれた内容はつまり二次方程式の解法だったという。

今その二次方程式を習っている受験生がいるものだから「実話かどうか知らないが…」と前置きしてこの話を聴かせると、口を半分だけ開いて何か思うところがあるようだった。頭のどこかに何かがコツンと当たったようだけれど、感想を聞くような野暮はしないが肝心。

先哲の智慧はそれとして、自分なりに新しい世界が見えた瞬間は面白いよね。
物忘れが増えた分、来年あたりは新しい発見が増えるといいな。