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自然栽培のトマト(固定種)秋

自然栽培の固定種トマト(イタリアの品種)。これから種とりです。
自然栽培の固定種トマト(イタリアの品種)。これから種とりです。

こんにちは。

 

神奈川・相模原(相模湖)で自然栽培の野菜やハーブを育てながら農的暮らしの講座を開催している「すどう農園」です。

だいぶ朝晩が涼しくなり、畑のメンバーも入れ替わってきました。「自給のための無農薬の野菜作り教室・さとやま農学校」でも、明日の収穫は秋の枝豆やサトイモ、長ネギ、ブロッコリー、間引きのコマツナなどにバトンタッチです。トマトはまだ茎葉は青々しているのですが、露地では肝心の果実はそろそろ終わりがけです。
写真はハウスで育てた固定種のトマト。品種名はイタリア語なのでよくわかりません。

しかし丈夫で今も11段目の玉が青く育っています。どこまでいけるでしょうか。
じっくり樹上で完熟したトマトを食べる前にちょっと飾ってみました。
深々とした赤は、岸田劉生の「麗子像」を思わせるようで魅入っています。
ご覧のようにヘタの周囲に刻き込みが深いので雨の多い日本では露地栽培に向きません。
そして今年ダメ押しのように痛感したのですが、もうこれからは露地栽培のトマトはかなり厳しいですね。
来年からは家庭菜園でもできる簡易な雨除けを基準としてトマトづくりをします。このトマトも含めて、梅雨と猛暑へのシフトをしっかり組み込んだ自給体系がこれからのポイントです。

 

もちろん、今までも農業は同じことをずっとやってきているわけではありません。毎年毎年が工夫と改良の積み重ねです。
米作りが代表例ですが、かつては田植えと言えば梅雨のさなかにやるものでした。それ以前では苗が育っていないからです。
保温折衷苗代という手法による苗の早づくりが広まったのは戦後のことで(今はビニールハウスでの育苗に変わりましたが)それがあればこそ今のように5月に田植えができるようになりました。品種の改良もあります。
裏を返せば、戦前はそうした技術もないために米の生産量は低く、とり分け北日本はそもそも稲作適地でない気候ゆえに冷害もひどく、たびたびの凶作が子供を売るほどの厳しい社会状況につながり、ひいては2・26事件のような形で表面化し、アジア(とりわけ満州)への侵略を希求する動きの一つにもなりました。この辺りは別に改めて書きたいと思っています。

イタリアから来た固定種のトマト@さとやま農学校・すどう農園
イタリアから来た固定種のトマト@さとやま農学校・すどう農園

おかげさまで今年も色々な野菜の種取りができました。「さとやま農学校」の現役受講生の皆さんや修了生の皆さんのおかげです。赤米は「街で自然農@世田谷ものづくり学校」でつないでくださいました。ありがたく来年に命を繋いでいきます。

なんとも落ち着かない年ですが、このところ読んできた本の最後に著者のあとがきとして「どうしてこの国は国民にすがすがしい想いをさせないのだろうか」と書いてありました。昭和の本ですが、今なおその通り。濁って落ち着きのない、行き先を見せない自民党政府の態度はとんでもないものですが、それはそれとして私たちは種を繋ぎ、耕していきましょう。少なくとも空の下で働くそのことだけは、すがすがしいのです。