こんにちは。
神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農を営む「すどう農園」です。
廣田岳さんに二年前に作っていただいた可動式の炭焼き器を使って、竹炭を焼くワークショップをしました。上の写真は焼き上がった状態の竹炭です。
今回は告知期間も短いなかでの開催でしたが、千葉からお見えになる方もいて、里山再生への関心の深さを感じます。
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今回の炭焼きは、中古のドラム缶を使うものです。
よくあるのはドラム缶の中に竹(燃材)を詰めて燃やしながら適当な頃合で蓋をする(酸素のない還元状態にする)ものですが、今回のパターンは、もう少し高度な作りになっています。おおもとはタイの方々が竹林の有効利用のために考案したものだそうで、音声も字幕も全てタイ語なので、画面をひたすら細部まで凝視して独習したのだそうです。さすがです。
適正技術としての竹炭焼き
日本全国と言わず、おそらくはアジア各地でも竹が増えすぎて困っているのでしょう。かつてのようなバンブーハウスも今は需要が減っていることと察します。以前のブログにも書いたように竹を伐って様々に使う事が大事です。上質なものは竹細工にすればいいし、食べてもいいし、思いつく限りに使って、そのなかで竹炭も焼くことで、最後の端材まで使えるわけです。
たとえば竹細工だけだと一部しか使えないので、大量のロスが出るのですが、こうして無駄なく使って循環させる「カスケード利用」は、一つの実体に様々な役割を見つけるという意味で、これも一種の「多様性」と思います。パーマカルチャーのデザインでも、ひとつの存在(今回の竹のようなもの)に様々な役割を持たせることを提起しています。
身の回りの問題を、身の回りにあるものを組み合わせて解決していくときに「適正技術」の考え方が有効です。
私が「適正技術」という言葉を知ったのは30年以上前でした。英語では Appropriate (or Aiternative) Technology、略してATと読んでいますが、コンセプトはシンプルです。
・その場にあるものでできること
・安価であること
・皆にわかりやすいこと
大事なのは一番最初の項目です。身の回りにあるもの、というのがおそらく初めての人にはピンと来ないでしょう。
今回の参加者の声でも「身の回りに木や竹がない」というものがありました。それは違います。
ないのではなくて、見えていないのです。身の回りに何があるか、そもそも見えていない。そして、その実体を認識しても、更にそれがどんな役割を果たすか、そこまでの想像力あるいはクリエイティブが働かない。都会で永年暮らした人が、このセンスを身につけるには、それなりの時間と現場経験が必要です。そして経験のなかには「お金がない経験」も必要です。「カネがないときに知恵が出る」というのは適正技術に関わる方々に共通した言葉でした。私もそう思います。
この竹炭は、今週末6月26日(日)に開催の「さとやま草木譜ワークショップ」で使わせていただきます。果樹園にする植え穴を掘り、その中に炭をたっぷり埋めていきます。電位差も大きくなり、生育が良くなることが多くの現場で証明されています。