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桜を醗酵させて土づくり

こんにちは。

 

神奈川・相模原(相模湖)で自然栽培の野菜やハーブを育てながら野菜作りの農業学校を開催している「すどう農園」です。


冬は剪定の季節でもあります。里山のあちらこちらで大きく伸びた樹を切るチェーンソーやチッパーの音が響きます。
チッパーというのはあまりなじみがないことでしょうが、切った枝を細かく砕いてチップに破砕する機械です。専門の業者さんが来て一日がかりで枝を伐りながらその場で破砕します。
桜を伐ったチップを頂けることになりました。チップそのものはセルロースやリグニンといった炭水化物の非常に分子量が大きくなったものなので、密度も高い。じっくり時間をかけて分解させてから、表土に敷いていきます。ただしこのような炭素率の高いチップを土の中にすきこむと微生物が分解するときに窒素を消費する「窒素飢餓」という現象を起こしてしまうので、あくまでも表層施肥です。
 枝の状態の桜はそう簡単には分解されません。白色腐朽菌すなわちキノコの仲間がじっくり時間をかけて土に還してくれるのを待つわけですが、このように細かいチップになると空気に触れる面積も増えるので糸状菌などの仲間も食いつきやすくなります。

破砕して一週間ほどですが、既にうっすらと白い菌がはびこっていて、山を崩すと桜の香りが漂います。クマリン成分という、桜餅の香りです。うっとりします。

 里山の暮らしの良さ、つまり樹木や落ち葉や、山の水に囲まれた豊かさがもっともっと味わえるような畑に、暮らしに、今年はしていきたいものです。「さとやま農学校」の皆さんもほとんどが平野の方々なので、この豊かさをおつたえしたいものです。