津久井在来大豆の定植

大豆の無農薬栽培を野菜作り教室で学ぶ
大豆の無農薬栽培を野菜作り教室で学ぶ@さとやま農学校

関東は来週あたりに梅雨が明けそうです。西日本から東海にかけての豪雨の様子には昨年の死者まで出た私の地域・相模原の様子が重なります。コロナも併せて皆様いかがお過ごしのことでしょうか。7月は、西日本の野菜が全国の台所を支える時期なのですが、この豪雨でとても収穫の畑に入れないという声もインターネットで見聞します。ジャガイモなどはトラクターで掘り起こすわけですから、ぬかるんで入れない事態もあるでしょう。田植えしたばかりの田んぼに泥流が襲ってきたり、道の崩壊など、とても梅雨とは思えない光景が起きています。

その大変な雨雲も静岡まで来ましたが、日本列島の中央山塊の長野辺りでだいぶ雨が落ちたので、こちらはおかげさまで申し訳ないほど今回は大過ありません。そのぶんしっかり作らないと。
 

一週間前の「首都圏の野菜作り教室・さとやま農学校」では雨にあたったので、津久井在来大豆の種まきは露地でなくトレイに蒔きました。小規模であればエダマメなどこうしてトレイで発芽させて移植するパターンが可能です。鳥の食害も防げますね。もちろん植え替える手間はそれなりにかかりますので、防鳥ネットやテグスを張る手間そして植え替えの根のショックなどを差し引いて勘定することになります。直まきではうまく発芽しない部分も出てくるので、こうして補欠の苗を作っておくこともありでしょう。あるいは畑の一角に補植用の苗をまとめて作っておいたりもします。そうすれば水やりの手間はいりません。

 

大豆の苗の定植は、このところ日照も少ないせいで徒長(とちょう)気味になりました。本来苗は深く植えるのは禁じ手なのですが、徒長苗の場合には、双葉がしっかり立つ程度に深く植えます。ただし苗の根が今の梅雨時にきちんと呼吸できるように、大豆を定植する場所は耕されていることが大事です。ガチガチの硬い土に写真のような植え方をしてはいけません。今回はちょうどジャガイモを収穫した後だったので、ふわっとなった畝に大豆を定植しました。大豆の定植の場合、今回のように徒長した苗の植え方もコツがあります下の動画をご覧ください。

大豆や小豆の種まきは、種まきの日取りによって実入りが大きく変わってきます。下手をすると茎や葉ばかり大きく繁ってちっとも実がつかないことになります。また、同じ津久井在来大豆を同じ相模湖で蒔くにしても畑によって結構日取りが違います。ある畑では6月25日といい、別の数キロ離れた畑では7月7日という。不思議なものです。とりわけいろいろな在来大豆のなかでも、津久井在来大豆は日取りの違いが大きいようです。私は考えるに、これは日長感受性が大きな品種なのではないでしょうか。大豆は温度の変化や日長の変化(厳密には連続した夜間の時間の長さ)で花をつけます。栄養成長から生殖成長へのスイッチが入るわけですが、大きな面積に蒔くのと違って、津久井地域は小さな面積(数反程度)につくる場合がほとんどで、さらにそこから農家が各自で種取りなどしているので、畑によって日長感受性に分化しているのかもしれません。例えば畑それぞれでも周囲の地形によって日照時間が違うわけですから、地形環境の違いを織り込んだ大豆になっているのかもしれませんね。その意味では同じ津久井在来大豆でも日長感受性に関しては農家それぞれで亜種に分化しているのかもしれません。

大豆の無農薬栽培を野菜作り教室で学ぶ@さとやま農学校
大豆の無農薬栽培を野菜作り教室で学ぶ@さとやま農学校

今週の土曜日の「さとやま農学校」でもう一度、津久井在来大豆の種まきをして、日取りの違いを見てみます。とにかくコツコツと同じ作業を日にちをずらして繰り返して体で覚えるのが大事です。繰り返すことが大事です。一度や二度のセミナーあるいはオンラインなどで学ぶのと身体で繰り返して学ぶのとでは次元が違います。
 

来週7月20日(月)は、2020秋のショートコースおよび来年の本講座に向けて、すどう農園での説明会(オープンファーム)の二度目を開催します。夏に説明会をやるのは今年が初めてですが、コロナの影響で皆さんがどんな風に不安に感じて、あるいは生活を農的にシフトしていこうと考えていらっしゃるのか、そんな直接のコミュニケーションが必要と思っての開催です。前回の11日も、少人数でしたがじっくりとお話をすることができました。平日ですが、ご無理なければお越しください。