手づくり醤油のもろみ仕込み@穂高のヒナタノ醤油さん

お醤油のもろみの仕込みの視察に行きました。

「醗酵の郷つくい」の皆さんとご一緒に、信州・穂高にある「ヒナタノ醤油」さんへ。
非常に素晴らしい一日でした。
こういう手作りの現場に行くと、感じたことが多すぎてブログにまとめにくいものですね。


お仕事の基本はふたつ。
①醤油のもろみの委託加工
②熟成したもろみの現場に出張して、その場で搾って醤油にする「搾り師」

①では、すどう農園もお世話になっています。去年の春にもろみを仕込んでいただいて、相模湖の加工場に引き取って熟成させてきました。だいぶ良い感じのもろみになってきた気配。これは春に相模湖の方にお願いして搾っていただきます。

このお仕事を始める前は地元の酒蔵で15年杜氏をなさっていたという宮崎さんの、麹を操る手つきにじいっと見入ってきました。詳細なご説明も頂いたものですが、何より現場の作業を見せていただいたのが嬉しかった。こういうところは普通あまり見ることのできないものですから。

お話のなかで印象に残ったのは「一般的な規模の製造を家庭でできる規模にダウンサイズすることは難しい」という点。
すごく同感です。
これはたぶん、モノづくりをしていないと実感しにくいこと思います。
いま「小商い」という言葉がすこーし、キーワードになってきていますね。
あるいは十年ぐらい前から「3万円ビジネス」とか。
小さく初めて、あえて大きくせずに適正な規模で事業をやっていくという発想は、大事です。
たとえば醤油の製造業となると莫大な費用がかかってしまうもので、到底簡単に始められるものではありません。だからヒナタノ醤油さんのような形で小さなお醤油のお仕事が始まったのはとても意味の大きなことと思うのです。


そこで上の言葉に戻るのですが、醤油に限らず小さな製造業のポイントは「適正なサイズに」というところです。
設備の投資規模と生産規模がバランスよくまわるような事業規模(生産体制)の設計をすることがとても大事で難しいのです。
投資リスクを避けるあまり、スモールビジネスすぎて、設備もないぶん手仕事が多すぎて時間がかかり、売上げがいかないこともある。かといって時間がかかるために副業もままならない。こうなると事業そのものの設計ミス。これは農業も同じことです。

ヒナタノ醤油さんは15年ほど酒蔵で修行された経験があり、酒蔵というのは少人数で何もかもやる現場なので、トータルな仕組みが勉強できたそうです。その知見を活かしてのサイズ設計ができているのでしょう。

それにしても穂高の空気と空を山々清冽なこと。
里山とはまた違う別世界に浸りながらの想いあれこれ、また少しづつ綴っていきます。